家から車で5分くらいのところに、塩見川という川があります。この写真の場所は、もう少しで海に合流するという場所で、海から近い距離にあります。
この川を初めて見たとき、とても美しくてびっくりして、しばらく眺めていました。
遠くに見える山々も、ゆったりした気持ちにさせてくれます。
川には白いサギがいて、エレガントな存在感を放っています。ゆったり歩く姿といでたちが、着物を着た女性のようにも、バレリーナのようにも見えます。
カモもたくさん泳いでいます。たいていは群れで行動していて、川から出て河岸で羽をバサバサさせたり、何羽も集まって休んだりしています。とても可愛いです。
時々、川面から魚がちゃぽんっと水面に出て体をくねっとさせてまたちゃぽんと水の中に戻ります。大きい魚もたまにいて、そんな瞬間に出くわすと興奮します。
川に生き物がたくさんいる。
それがとても新鮮で嬉しくて、この川の河原を散歩をするのが大好きになりました。
(どきどきしながら、息をひそめながらシャッターを押します)
2024年の3月下旬、印象的なことがありました。
いつものように河原を散歩していると、白サギが山の方から飛んできて、川の水面ギリギリを滑るように飛んでいきました。上空ではツバメが2羽飛んでいました。2羽とも、ものすごい速さであっちへとこっちへと、びゅんびゅん飛びます。本当に“風を切る”ようでした。
「春だー!春だぜーーーい!」
そんなふうにはしゃいでいるようで、これ絶対喜んでいるよなと思いました。写真を撮ろうとしましたが、動きが早過ぎて全く追いつかず、笑ってしまいました。
はしゃぎすぎだぞ!(嬉)
(40歳女性、つばめにツッコむ。)
そんな賑やかな空とは対照的に、足元では小さな蝶々が何匹かパタパタ飛んでいます。
そしてすぐそばに、なぜかトンボも1匹いました。
そのとき、じわーっとしました。
いろんな生き物がいて、草も、花も、木も、生き生きとしている。空は広く、風はやさしい。
太陽のひかりが全部を照らしている。
“充分”
という言葉が浮かびました。
心があふれて、満ちて、自然に笑みがこぼれました。
空間と時間が止まったようでした。
印象的なあの時間、空間が、ときどき思い出されます。
あのとき、私は、完全に素直な状態になったような気がするのですが、これを書いている今は、体の感覚に“少し残っている”くらいになりました。
また、あの感覚になりたいなと思ったりします。
生きているものが、皆、躍動している。
その中に自分もいっしょにいる。
それはとても豊かで、“嬉しい場所なんだ”と、ときどき思います。